令和2年度 入学式式辞
   暖かい春の日差しが降り注ぎ、校門からのアプローチには白い灯台が、少し緊張した新入生と大勢の保護者の皆様を大歓迎しこの場へと導いてくれました。本日ここに、PTA会長の中野正喜 様を始め多数の保護者の皆様方のご臨席のもと、本科一六〇名、専攻科一八名の計一七八名の新入生を迎えましたことは、私たち教職員にとりまして、誠に大きな喜びであります。ただ本日の入学式は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、規模を縮小して挙行する運びになりましたことをお許し願います。
 この栄えある入学式に、この御時世の中にも拘わらず、ご参列いただきましたPTA会長に厚くお礼を申し上げますと共に、今日までお子様方を大切に育ててこられました保護者の皆様、お子様方のご入学を心からお祝い申し上げます。
 ただいま、入学を許可しました新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは、これから愛知県唯一の水産高校 この三谷水産高校の生徒として、高校・学生生活を送ることになります。本校は、昭和一五年四月に創設されて以来、多くの試練と風雪に耐えて年輪を重ね、今年で創立八十周年を迎えます。其の間、卒業生は壱万余名に達し、水産や海洋関係に就職する生徒はもとより、大学や専門学校に進学する生徒も多く、本県の水産・海運業界を中心に通信業界や製造業界などの中枢で活躍し、その優れた力量を評価されている先輩方が大勢みえます。皆さんも本校に入学した限りは、先輩方の後継者としての誇りを持ち、社会で活躍するという強い決意で、これから努力していただきたいと思います。
 本校における高校生活を生涯の宝として大切にできるものにするために、私が高校生の時に恩師からいただいた2つの漢字についてお話したいと思います。
 一つ目の漢字は「念」です。
 不可能と思える事柄を達成するために良く「執念」とか「一念」という言葉が使われます。この「念」の字は「今」に「心」と書きます。不可能と思えること、また大きな成功を掴むためには、いつかではなく、今の心がどうなのかが、重要なのだとの教えだと考えます。今日、この瞬間が皆さんの「今」であり、この瞬間から「自分は、こうなるぞ!」と将来の目標・夢を心に決め着実に精進してもらいたいと思います。
 二つ目の漢字は「恩」です。
 恩という字は原因の因に心と書きます。今日、皆さんがこの場に居て、晴れて高校生としてスタートできるのには、愛情を持って育ててくれた保護者の方々や、温かく見守ってくださった、周囲の方々のおかげであります。こういった原因に心から感謝することが人として大事なことだと信じます。
 そして、その二つの漢字の意味するところ、つまり常に感謝の心を忘れず、どんな状況になっても、「さあ今からだ!」と挑戦し続ける最高の3年間でありますよう祈念します。
 ここで、皆さんに一つの言葉を贈りたいと思います。
 「時を守り、場を清め、礼を正す」 この言葉は本校が重点目標とするところです。教育学者の森信三先生が残された言葉で
 「時を守り」とは文字通り時間を守るということです。時間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することです。遅刻をしない、授業の開始時間には席に座って静かに先生を待つという、当たり前の積み重ねが信頼感を得るとともに、相手を尊重するという気持ちも身につきます。
 「場を清め」とは、整理整頓をする、掃除をしっかりするということです。整理整頓ができる人は、気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心をはぐくむ、感謝の心がめばえる、ということです。
 「礼を正す」とは、気持ちよい挨拶をする、返事をする、規則を守る、身だしなみを整えるということです。ぜひ「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉を、常に心に刻んでほしいと思います。
 改めまして、保護者の皆様方にお願いがございます。高校の三年間は心身ともに一段と成長していく時期です。それだけに悩みが多い時期でもあります。時には遠くから温かく見守り、時には真摯にお子様と向かい合っていただきたいと思います。「子どもは、家庭で愛され、学校で学び、地域で育つ」と言われています。お子様が大切な高校時代を素直にのびのびとすごせるよう職員一同、心をひとつにして、努力いたしますので、ぜひ皆様の学校への深いご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに、ご来賓の皆様をはじめ、地域の皆様には、引き続き本校の教育にご支援とご協力をいただくとともに、生徒たちの成長を温かく見守っていただくことをお願い申し上げ式辞といたします。
  令和二年四月六日
愛知県立三谷水産高等学校長
湯藤義文

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